Antarctic Record (Dec 1966)

Research of Sea Ice in Polar Oceanography (Reports read at the Symposium on Polar Oceanography)

  • Kou KUSUNOKI

DOI
https://doi.org/10.15094/00007425
Journal volume & issue
no. 27
pp. 2206 – 2206

Abstract

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1.海氷の分布 北氷洋および南氷洋における海氷の分布は従来の沿岸・船舶・航空機による氷状観測によってかなりの情報が集積した 近年は人工衛星による氷状図も得られている 暗黒期を持つこれらの海域での冬季間の資料は不充分で,とくに南氷洋の資料は夏期でも不充分である 平面的な氷縁の季節変化や海氷分布のみでは正確な海氷量は求められず,氷厚の分布を知ることが今後の課題である 南氷洋では氷山の量を求めることも重要である これらの海氷の地理的性質に関する情報が増すことは,両海洋の氷収支,水収支,熱収支の研究に大いに役立つ 今後は国際的・全地球的な規模において,とくに南氷洋に重点を置いた観測の強化が必要である.2海氷の諸性質 海氷は主として純氷,フライン,ガスより成り,徴生物や土砂も含まれている複雑な物質である 近年基礎的性質についての研究がかなり進んだとはいえ,とくに物理常数を再精測する時期に来ている 化学的性質,とくに大気や海洋との物質交換,また海氷中の生物(とくにプランクトン)についての研究は今後の課題である.とくに南氷洋における現場でのこれらの測定は不充分である.3将来の諸問題 前記2項についての研究を進展させることは広義の極地海洋学への寄与となる 実用面に対しては海氷予報(結氷初日,生長量,融解量,船舶航行可能度,氷の移動(氷丘生成,開水面生成)など)に役立つものとなる.とくに南氷洋においては大気と海洋との物理的・化学的相互作用,南極底層水の生成機構,大陸氷(棚氷も含む)底面での融解などの諸問題が残されている 南氷洋の海氷研究はIGY以後発展しているものであり,北氷洋に比べて歴史が浅く,昭和基地周辺での海氷の研究,海氷下での海洋観測が今後大いに期待される