Antarctic Record (Mar 1969)

Activity Patterns and Energy Metabolism of Men in Antarctic Expedition

  • Shigeru HIROSE

DOI
https://doi.org/10.15094/00007546
Journal volume & issue
no. 34
pp. 79 – 89

Abstract

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極地という特殊な環境条件が,人間の生活様式に及ぼす効果を検討する目的で,第8次日本南極地域観測越冬隊員を対象として,生活時間調査およびこれに関連するエネルギー代謝につき調査を行なった.昭和基地において,隊員は平均66%の時間を臥位または坐居で過し,また88%の時間は屋内で過した.エネルギー消費量は1人1日平均2850kcal,食事摂取量は2830kcalと計算された.これらは日本で中等度の筋肉労働に従事するものの値に相当している.エネルギー消費量,屋外で過した時間等は,冬期に少なく,夏期には多くなった.これは行動様式が気候条件に影響されることを示している.越冬中昭和基地において隊員が過した場所の気温は平均11.2℃であり,0℃以下の温度に暴露されていた時間は全体の11%であった.自然条件の厳しい南極であっても,観測基地で生活する限りは環境条件は極端に厳しいものではなく,生体に重大な生理的変化を引き起すものではないと考えられる.