Antarctic Record (Sep 1964)

Preliminary Report on the Morphology of the Inland Ice Sheet of the Mizuho Plateau, East Antarctica

  • Kenzo FUJIWARA

DOI
https://doi.org/10.15094/00007362
Journal volume & issue
no. 23
pp. 1835 – 1845

Abstract

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第5次越冬隊は,1961年10月4日から12月19日わたって,大和山脈を経由し,南緯75度に達する内陸調査を行なった。その際に得た雪氷学・気象学上の成果は,目下別に整理されているが,ここでは大陸氷の形態的観察にもとづいて考察し,大陸氷の特徴としてつぎの諸点を得た。1)大陸氷の形態からみて,Mizuho plateauはinland plateauとmarginal slopeの区域に2分できる。その境界は大和山脈の南方,海抜2,300m付近にある。大和山脈の東側には,これと並行する2条の基盤の高まりがあり,大和山脈およびこれら基盤の高まりが,大陸氷の外方への流動を妨げているものと思われる。かかる大陸氷のdam upによる特徴は,Queen Maud Landにおいて海岸から200~300kmの内陸で共通的にみられる。2)Marginal slopeの大陸氷は一般に勾配が急で,また基盤の起伏を反映した表面形態を呈する。Inland plateauの大陸氷の表面はきわめて平坦であり,表面から基盤形態をまったく推定できない。調査隊の最終到達点(75°0'S, 38°27'E)の高度は3,230mである。これ以南の大陸氷もかかる緩勾配をなしながら,大体80度付近にあると思われる東南極大陸の分水界まで高まるものと考えられる。3)Sastrugiの形態と発達方向には顕著な地域性が認められ,それによって各地域における卓越風の性格が判明した。Inland plateauでは,風は一般に弱く,定常的な東風が卓越する。Marginal slopeでは,東風のほかに,blizardの際の北東ないし北風がsastrugi形成に関与する。Blizardの影響する範囲は,大体昭和基地南方400kmの内陸までと見なされる。大陸氷の急斜部ではkatabatic windが強く,これがsastrugi発達の地域性を非常に複雑にしている。