Tabula (Jan 2021)
科学技術日本語教育を振り返って専門日本語の将来に向けて
Abstract
「科学技術日本語」は、Japan as No.1と言われた1980年代、すなわち日本の経済発展隆盛期の技術・経済力を学ぼうとする世界の動きによって始まった。しかし現在の日本の現状はその勢いを失い、情勢の変化とともに日本語学習動機も変貌し、新しい需要に応える日本語教育の模索が必要となってきた。 本稿では「科学技術日本語」の研究を開始した当時に立ち戻って社会にお ける日本語学習の必要性と研究方法の選択を振り返る。当時、外国人による機械翻訳のための日本語読解のための文法辞書および最小限の漢字学習による論文読解の方法論が検討され、その後コンピュータの言語処理技術に コーパス言語学が加わることで、大量の言語データを利用した読解支援および作文支援を開発することが可能になった。さらに分野別の特徴を知る 上で有効なレジスターという概念を取り入れることで、広い分野においてコーパス利用による教材および教育ツール開発の可能性があることを述べる。
Keywords