Asia-Pacific Science Education (May 2018)

Comparison of German and Japanese student teachers’ views on creativity in chemistry class

  • Luzie Semmler,
  • Shingo Uchinokura,
  • Verena Pietzner

DOI
https://doi.org/10.1186/s41029-018-0025-4
Journal volume & issue
Vol. 4, no. 1
pp. 1 – 29

Abstract

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Abstract in Japanese 理科教育においては、新しい科学的な発見や技術的な革新を生み出すという意味においても、また、日常生活や職業生活において創意工夫ができるという意味においても、子ども達の創造性を育成することは重要と考えられている。これまで、アメリカなどの欧米諸国、中国や韓国などのアジア諸国の一部では、現職教師や教職課程の学生を対象として、科学および科学教育における創造性に関する認識が調べられてきた。しかしながら、創造性教育の伝統のあるドイツや国際学力調査で上位の日本の教師や子どもの創造性に関する認識・態度は調べられていない。そこで本研究では、ドイツと日本の教職課程の化学(理科)の学生を対象として、化学(理科)および化学授業(理科授業)における創造性に対する態度を調査した。ドイツの教職課程の第2段階に相当する修士課程の学生16名を、日本の教職課程の第1〜2学年の学生14名を対象とした。いずれの学生であっても、理科教育に関する専門的な学習をはじめた段階にあった。学生の化学授業(理科授業)における創造性についての態度は、「化学授業(理科授業)における創造性」を中心語とするコンセプトマップとそれを補足する選択式・記述式の質問紙によって探った。学生は、創造性に関連するラベルの有無がある2種類のコンセプトマップを作成した。得られたデータは、コンセプトマップの構造とラベルおよびラベル間の関係に見られる意味内容に着目して分析した。その結果として、化学授業(理科授業)における創造性について、その促進には教師の役割が大きいという認識がドイツと日本の学生に共通して見られた。ドイツの学生のコンセプトマップには、創造性を特徴付けるラベルがより多く見られ、それが構造化されていた。それに対して、日本の学生のコンセプトマップには、必ずしも創造性に関連しているとは言えないラベルも見られ、むしろ化学授業(理科授業)に関するラベルを多く記述する傾向が見られた。今回の調査に限って言えば、日本の教職課程の学生に比べて、ドイツの学生は、化学授業(理科授業)における創造性としての特質などを意識化しており、構造的に捉えられていると言える。ドイツや日本の社会的・文化的な側面での共通点や相違点を視野に入れつつ、理科授業に関する信念や教授行動の実際を含めたさらなる検討が必要である。.

Keywords